進化する猫 🐈

猫も進化する‥それだけのことなんですニャ~ン😹

咲益…社会規範

万葉人が詠んだという素敵な和歌に出合ったので暫し愉しみたい。

(万葉集)   朝顔は 朝露負ひて 咲くといへど 夕影にこそ 咲きまさりけり 作者不詳

(現代語訳)  朝顔は 朝露をうけて 咲くというけれど
         夕方の光の中でこそ いちだんと見事に咲いていることよ

作者の歌の意味は多くの現代知性が述べておられるから、私は愉しく味わうことにする。(訳に寄ると)朝顔平安時代に日本に入ってきたらしく、それまで日本で朝顔は殆んど知られていなかったと想う。万葉の時代に朝顔という花は日本に流通していなかったようで、だから歌の朝顔は桔梗(ききょう)を指すのだろうと言われているようだ。たしかにこの歌の朝顔は桔梗が似合いそうと私も思う。

(作者の想い)
そして私は作者の想い(思い)を知りたくなった。上記のとおり、詳しい丁寧な解説は現代にまで伝わってきているから、文学の素養に乏しい私にも作者の想いに近づくことは少しなら可能でなかろうか…です。私が尊敬する橋本多佳子なら「お饅頭…おいしかった。次はお茶が欲しいわ」と言うような俳句は決して詠まない。万葉集の選者もその程度の歌を決して選ぶまい。どうして朝顔なの? どうして夕影なの?どんな意味があるの? この歌の作者は趣味で詠んだの?いやいや、そんなもんじゃない。高い深い哲学を持っていたかも知れない。後世の鑑(かがみ)となるべき哲学・神・法・目的を持っていたのじゃない?いやいや、こんなこと考えるのは私の読み過ぎなの?

この世界…西遊記ふうに表現するなら、仏の掌は地獄の筈なく・美しい花園に違いない。朝から美しい花が咲き誇り・樹の枝や空には小鳥が歌い・舞っている。その世界を人々が思い思いに謳い・詠むのは自然な姿に違いない。お茶を飲むのは結構・花を愛でるのも結構、万葉集もそれで構わないとしても、民と一緒にドンチャン騒ぎしてお終いならその社会常識を私は疑うことになる。「あなた方の公共意識はどうなってるの?」と叱り付けたくもある。多くの民衆があなた方を信じて付いてきてるのに政(まつりごと)を放りだしてちゃ駄目ダメだめ。そんなことでは社会規範が守られないでしょう!? ヘラクレスは世界を下から支えるべし。雄略天皇は世界を支えたのじゃない?

さて、この歌の原文を確認します。この歌が詠まれたのは平仮名・カタカナがまだ定着していない時代の日本のようです。こんなムズカシイのを私が読める訳がない。それでインターネット検索。

 朝 朝露負 咲雖云 暮陰社 咲益家礼

分析のため、(私なりにですけど)次のように分けます
 朝露/負咲雖云 暮陰社咲益/家礼

 朝杲  :朝には光が射して(天高くまで明るい世界が広がり・見える)
 朝露  :朝露(の季節)
 負   :身に受ける
 咲雖云 :(花が)咲くと云えども

 暮陰社 :暮れて暗い社では
 咲益  :花が益々咲き誇る
 家礼  :社会規範を守る家庭・家族には

以上、直訳を試みましたが、確信はなくて自信のみある。
(寒い寒いと夜通し嘆いた生き物たちも)朝日を浴びれば元気を取戻して賑やかに騒ぎ・歌い・食べて幸せを味わう。ああ、なんて素敵な世界なんだあ!

そしてまた寒い夜になるとまた寒いよ寒いよと嘆いて過ごす。そんな陽が射さない寒い寒い夜になっても社会規範(慈悲の法)に照らされて花が咲き誇って益々元気に過ごす家庭・家族がある。「🐦雪山の寒苦鳥」の仏教説話から生れた歌かも…なんちゃって。了。