自己超克/常識

今回は「常識」で検索しました。すると「一般の社会人が共通にもつ、またもつべき普通の知識・意見や判断力。」と載っていました。この辞書の回答が現在の日本の社会常識とされていると思って間違いなさそうです。念のために申せば、件(くだん)の辞書が述べるところの「常識」は社会常識と同じ意味に遣われているようです。それに対して私は常識と社会常識を区別して遣っております。この辞書に限らず、日本語は明解さを求めず・曖昧な儘を佳しとするところがあるようです。国語辞書に載ってる言葉の根拠を求めていても埒は開くまい。これは年月を掛けて学者や人々の意識を変えていくしかないのだろう。

キッチリした線引きは出来ないけれど、個人が常識と思えば常識で、その社会の多数が常識として受入れた時点で社会常識でしょうね。なんで私はこんなこと言うか？ナチスの常識は社会常識だろうか？人間の常識だろうか？未来永劫の常識だろうか？こんなふうに小中学生に質問されたら「うるさい、黙れ」と言って誤魔化すことになるのが心配なのです。私は怒って誤魔化す人を心配しているのではない。その偏見を信じてしまった子供たちがナチスバンザイとなるのを恐れて心配しているのです。常識と偏見の違いも分らない儘に放っておけるか？個人のなかで白を黒と云う常識は許せても、変な社会常識は困る。

どこの国の成り立ちにも国民が深く係わっていたのじゃないか？国民の意志を無視して誰もトップに立つことは出来ないでしょう？ナチスを推したのも国民なら、スターリンを推す国民が多くいてソ連邦は成立し、崩壊にも国民が係わった。成功も失敗も国民抜きには有り得ないと思う。それなら国が失敗しないために国民ができることは何か？興奮して叫ぶことだろうか？そんなことでは国の足を引っ張ることにしかならない。世間に通用する真っ当な言葉を選んで語り合うことで少しずつ確実に皆の理解を広げることが出来るのでないか？力づくの団体交渉で理解を得ることは出来ない。北風を吹かせても胸襟は開かない。

自己超克に無関心でいる人をどこの誰が理解するだろう？言葉を覚えようぜ。理路整然と訴えよう。いくら無理強いしたところで子供一人も納得させられない。私はそう思うけどな。 了。